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睡眠障害

不眠症とは

DSM-5(アメリカ精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル)では、「睡眠の量または質の不満に関する顕著な訴えが、「入眠困難」「睡眠維持困難」「早朝覚醒」の症状のうち一つ以上を伴っている」状態に、社会的、職業的、教育的、学業上などの機能低下を伴った場合に不眠症と定義づけています。

【入眠困難】

布団に入ってもなかなか寝付けないことです。不眠症の中でも最も訴えの多いものになります。

【睡眠維持困難】

いったん眠りについても何度も目が覚めてしまう、目が覚めた後に眠れない状態のことです。年齢を重ねるとともに眠りが浅くなり目が覚めやすくなります。

【早朝覚醒】

朝早く目が覚めてしまい、そのまま眠れない状態です。うつ病などに合併しやすいといわれています。

社会的、職業的、教育的、学業上などの機能低下を伴うとは?

何時間寝れていないから不眠症といったことではなく、日中に眠気が生じるといったことで判断します。昼食後にちょっと眠くなる、退屈な授業を聞いていて眠くなるといったことは誰にでもあることだと思います。何かやらなければいけない、やろうとしているのに眠気があってできない状態のことを機能低下と呼びます。3時間睡眠でも大丈夫な人もいれば、9時間寝ても足りない人もいます。「ショートスリーパー」「ロングスリーパー」と言われるように人によって必要な睡眠時間は異なります。一般的には年齢を重ねるとともに必要な睡眠時間は短くなるといわれています。

 

原因

不眠症の原因としては、生活習慣の乱れ、心理的なストレス、アルコールなどの嗜好品や薬物、心身の病気などが原因になると考えられています。

生活習慣の乱れには、現在の日本社会の状態が大きく影響しています。本来の体内時計は、1日平均24.18時間でリズムを刻んでいます。実際には1日24時間なので、その中で決まった時間に寝起きし規則正しい生活を送るには、日中の活動時間に光を浴びて体内時計をリセットすることが必要不可欠です。しかし、24時間営業の営業のお店の存在、就寝前のスマートフォンの利用、24時間稼働の工場勤務や夜勤労働など、不適切なタイミングで光を浴びることでヒトの体内時計に狂いが生じます。

そのほかでは、家族や親しい友人の死去、仕事の過度なストレスなどの心理的なストレスも不眠症の原因になります。また寝付きをよくするためにアルコールを飲む方もいますが、むしろアルコールは夜間の睡眠の質を悪化させるので、結果として不眠症を引き起こす要因になります。

その他にはうつ病、双極性障害、統合失調症、自閉症スペクトラム症などの症状として不眠を認める場合もあります。

体内時計について

人間の体内時計は、1日約25時間となっています。実際の日常生活では、毎日25時間のサイクルで回る体内時計を、24時間に近づけて生活しています。その方法のひとつが「光」です。たとえば朝に太陽光を浴びると起床できるのがその一例です。光を浴びることによって、体内時計の調整を行っています。そのため、朝日光を浴びるというのは睡眠にとってとても大切なことになります。

まら、夕方や夜に強い光を浴びると体内時計が後ろにずれてしまうので、睡眠障害が起こりやすくなります。夜中にネオンの多い場所に行ったり、スマートフォンを触ったりすることが誘因になります。そのため、よりよい睡眠をとるためには、寝る前にスマートフォンやパソコンを見るのはやめ、暗めの照明で読書をしたり音楽を聴く、ストレッチをしてリラックスするなどの習慣作りも必要です。

光だけではなく、生活のリズム、たとえば同じ時間に学校や仕事へ行く、食事をしたりすることも体内時計を調節することに役立ちます。

また最近では体内時計を調節する薬物をあります。

体温との関係

体温は睡眠と深い関係をもっています。人間の体には、活動する日中は体温が高く保たれていますが、眠りにつく時には、深部体温を下げることで脳と体をしっかり休息させる仕組みがあります。
皮膚表面から熱を逃がすシステム(熱放散)が働くと、深部体温(体の内部の温度)が下がり、それに伴って体は休息状態になり眠気が訪れます。深い睡眠の時ほど、体温は大きく低下します。

就寝前の体温調整

睡眠中だけでなく、睡眠をとる前に体温を変化させることで、うまく眠れる可能性があります。

  • 寝る前にぬるめのお風呂に入ったり、足を軽く温めると、眠りに入るまでの時間が短くなり、深い眠りがとりやすくなります。温かくした後には、末梢血管が拡張し、手足の表面からの熱放散が増え、体の内部の温度が低下しやすくなるためと考えられます。温まりすぎると深部体温が上がってしまいます。
  • 夕方の運動も、皮膚からの熱放散を増やすので、深い睡眠をとるのに効果的とされます。

治療

不眠症の治療においては、不眠症状の原因に対してのアプローチ、薬物療法、生活改善が検討されます。

不眠症は不適切な生活習慣、心理的ストレス、アルコールや薬物などさまざまなものが原因とあります。そのため、良質な睡眠を保つことができるような生活習慣の改善が有効です。たとえば、毎日なるべく決まった時刻に寝起きする、日中に光を浴びる、寝る前のカフェインやブルーライトを避ける、寝る前にぬるめのお風呂にはることなどが挙げられます。

生活習慣の改善でも不眠が改善しない場合、薬物療法も有効となります。最近では従来の睡眠薬と作用機序が違い安全性の高いオレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬といったものもあります。薬物は漫然と継続するのではなく、定期的に症状を評価し、可能であれば減薬・休薬も試みます。

最近では小児にも適応が通っているメラトベルというお薬もあります。

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